(5)はぎとり法による地下構造の推定

図2−3−5−1は、読み取った屈折波初動走時に対して、3層の速度を求め、はぎとり法による解析をおこなった結果である。

はぎとり法では、一つの屈折面に対して、両側の震源の屈折走時が交わる区間のみについて解析を行うことから、第1層の速度を1.75〜1.78km/sとし、第2層は、

 D1−V1, V1−V2, V2−V3

の3つの区間について速度と深度走時を求めた。求まった速度は、2.14〜2.24km/sである。さらに、第2層の初動の見かけ速度は、時間とともに漸移的に増加する傾向が見られるため、

 D1−V2, V1−V3, V2−D1

の3つの区間についても解析を行い、これを第2'層とした。第2'層の速度は、2.47〜2.72km/sと求まったが、時間とともに漸移的であるため、第2層のやや深部で速度が速くなっているものと解釈される。

第3層として、保田層群相当層に対応する屈折波が一部で見られるが、これはほとんど初動ではなく後続波の屈折波として現れており、解析は困難であった。ここでは、第3層として先新第三系基盤に対応する屈折波について、両端のダイナマイト震源による記録を用いて解析を行った。測線中央部の基盤の屈折波速度は、4.8km/sと求められた。

図2−3−5−2に、はぎとり線から求めた深度走時を示す。屈折波が交差する区間において深度走時が決定されているが、決定不能の区間が多く、この間を直線で内外挿した。全体の概略深度についての評価をするため、それぞれの層毎に平均値を算出したものを水平な破線で示す。第2層、第2’層については、解析した初動走時の交差区間内でも、徐々に見かけ速度が変化する傾向が見られ、これが深度走時・深度構造に異常に傾斜した構造となってあらわれている。

図2−3−5−3に、が求められた深度構造である。はぎとり法では、本来上位の地層から順に深度を決定していくのであるが、第2'層は、第2層の深度が推定の状態で深度を算出しているため、誤差が蓄積する傾向にある。第3層(基盤)についても同様であり、第2'層から第3層にかけての速度変化を考慮していないため、深度は実際よりも浅く求まる傾向にある。

第3層の深度構造が、測線中央やや北東(距離24000m付近)を境界として段差構造になっているが、これは北東側(右側)区間で基盤屈折波の初動走時が交差しておらず、外挿した値を用いて計算を行っているためであり、段差の信頼性はない。