(5)西埼玉地震(1931年9月21日、M6.9)

西埼玉地震は埼玉県西部の山地のごく浅いところで発生した。この地震によって強い地震動が生じ、関東地方の広い範囲で震度5が観測された(図5−23)。被害は埼玉県や群馬県の荒川・利根川沿いの比較的地盤が軟らかい地域に集中した(図5−24)。全家屋に対する倒壊家屋の割合は小さかったが、全体として、死者16名などの被害が生じた{25}図5−25)。

 この地震の有感の余震は、3週間程度でほとんどなくなった。また、最大の余震は、およそ2週間後に発生したM5.6の地震であった(図5−26)。

 西埼玉地震は、群馬・埼玉県境の関東平野北西縁断層帯で発生した可能性がある左横ずれ断層型の地震だが、地表に断層は現れなかった。揺れが強かった地域ではいたるところに地面の亀裂が生じ、地下水や土砂の噴出、井戸水の濁りなどが広い範囲で見られた。