(4)秋田県に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴

秋田県に被害を及ぼす地震は、主に日本海東縁部に発生する地震と陸域の浅い地震である。なお、秋田県とその周辺で発生した主な被害地震は、図4−48のとおりである。

 日本海東縁部では、1983年に日本海中部地震(M7.7)が発生し、津波や地震動、地盤の液状化現象などで県西部を中心に大きな被害が生じた。1964年に日本海中部地震の震源域付近で発生した男鹿半島沖の地震(M6.9)や同じく日本海東縁部で発生した1833年の庄内沖の地震(M7 1/2) 、1964年の新潟地震(M7.5)によっても県西部では津波や地震動、地盤の液状化現象などによる被害が生じた。日本海東縁部は太平洋側沖合に比べて地震の活動度は低いが、この数十年間に限れば、北海道から新潟県の沖合にかけて、大きい地震がほぼ南北方向に列をなして次々と発生した。この列がプレートの境界となっているという説{53}もある。1983年の日本海中部地震と1964年の新潟地震の震源域の間に挟まれた秋田・山形沖の海域では、南側の1/3程度の範囲は1833年の庄内沖の地震(M7 1/2) の震源域の一部であるが、北側の2/3の範囲では大きな地震の発生は知られていない。このため、この海域を地震の空白域と考える説{54}がある。

 秋田県の地形を見ると、日本海沿岸には秋田平野などの平野が南北に延び、内陸に行くにしたがって山地や盆地が交互に並んでいる。県内の主要な活断層は、日本海沿岸及び内陸の盆地と奥羽山脈との境目付近に分布している。日本海沿岸では、県北部には能代断層が、県南部には北由利断層が、ほぼ南北方向に延びている。これらの断層の大部分は伏在断層であり、地形には明瞭に現れていないが、活動度が高い{55}ことが分かっている。

これらの断層を通り、山形県北部の庄内平野東縁断層帯にかけて、日本海沿岸沿いに断層帯が形成されていると考えられている。これらの活断層は活動度A〜B級の逆断層である。また、横手盆地と奥羽山脈の境目には横手盆地東縁断層帯が南北方向に延びている。横手盆地東縁断層帯は活動度B級の逆断層である。図4−49は、秋田県の地形と主要な活断層を示したものである。

 秋田県は東北地方の他の地域に比べて陸域の被害地震が多く知られている。明治以降だけでも、秋田・岩手県境には1896年の陸羽地震(M7.2:詳細は 4−2(5)参照)、県南部には1914年の秋田仙北地震(M7.1:強首地震と呼ぶこともある)、沿岸付近には1939年の男鹿地震(M6.8)などが発生しており、それより小さいM6程度の被害地震(例えば、1970年の秋田県南東部の地震(M6.2))もいくつか知られている。これらの被害地震は、1896年の陸羽地震のように活断層帯で発生している場合もあるが、活断層が知られていない地域で発生した場合もある。また、1914年の秋田仙北地震では、本震の震源の直上付近では活断層は知られていないが、本震の南方で発生した最大余震の方向には活動度C級の活断層が知られている。

 日本海沿岸沿いの断層帯では、9世紀頃と17世紀以降の2回の活動期が知られている。17世紀以降では、1644年の本荘付近の地震(M6.5:羽後本荘地震と呼ぶこともある)、1694年の能代付近の地震(M7.0)、1804年の象潟地震(M7.0)、1810年の男鹿半島付近の地震(M6.5)などいくつかのM7程度の大きな地震が発生している。この断層帯の活断層は地下に伏在していることが多く、今後活断層調査などで確認する必要があるが、秋田市北部を通る活断層があり、その付近では830年の地震(M7〜7.5)以降、地震の発生が知られていないので、地震の空白域とみなす意見{56}もある。なお、1939年の男鹿地震(M6.8)は、1810年の男鹿半島付近の地震(M6.5)のすぐ西側で発生したと考えられている。

 日本海沿岸の青森県との県境付近、岩手県との県境付近のところどころ、森吉山付近や花輪付近、県南東部の栗駒山周辺では最大でM4程度以下の規模の群発地震がときどき発生している。例えば、1981年から1984年まで続いた森吉山付近の群発地震活動(最大M4.9)などが知られている。群発地震が発生している地域のそばには火山があることが多いが、これらの火山と群発地震活動との関係について、はっきりしたことはまだ分かっていない。県南東部では、本震−余震型の地震が発生することもあり、栗駒山近くの宮城県鳴子町鬼首付近を震源域とする1996年の秋田・宮城県境の地震活動では、逆断層型の地震(M5.9)と横ずれ断層型の地震(M5.7)が続けて発生した。複雑な発生過程の地震活動であったが、大きく見ると本震−余震型の経過をたどった{57}。また、1970年の地震(M6.2)のように、M6程度の本震−余震型の地震が発生することもある。

 また、1968年の十勝沖地震(M7.9)のように太平洋側沖合で発生する地震や1894年の庄内地震(M7.0)のように周辺地域で発生する地震によっても被害を受けることがある。

 なお、秋田県とその周辺における小さな地震まで含めた最近の浅い地震活動を図4−50に示す。

表4−4 秋田県に被害を及ぼした主な地震