(4)平成6年(1994年)三陸はるか沖地震(1994年12月28日、M7.5)

三陸はるか沖地震は、青森・岩手県境の沖合の日本海溝付近から沿岸近くまでの東西方向に延びた広い範囲を震源域として発生したプレート間地震である。青森県八戸市付近を中心に強い地震動が生じ、八戸市では震度6が観測された(図4−24)。検潮所で観測された津波の高さは岩手県の宮古市の55cmが最大{25}で、三陸沖で発生した被害地震による津波の中では小さい方であり、津波による大きな被害はなかった。しかし、地震動によって、八戸市を中心に建物の倒壊などの被害が生じ、全体として死者3名{26}などの被害が生じた(図4−25図4−26)。

 本震発生から10日後の1月7日に発生したM7.1の最大余震は、発生した場所が岩手県北部沿岸地域に近かったために、八戸市で震度5が観測され、負傷者や家屋倒壊などの被害が生じた{27}。余震活動は活発であり、1月7日の最大余震に伴って一時増加したが、余震回数は順調に減少した(図4−27図4−28)。

 また、地殻変動観測(GPS観測)によると、三陸はるか沖地震の発生に伴い、北海道から東北地方に及ぶ各地で東方向に数cm移動するような地殻変動が検出された{28}

 なお、三陸はるか沖地震の震源域は、約30年前に青森県東方沖で発生した1968年の十勝沖地震(M7.9)の震源域と一部重なっている{29}。このことは、プレート間地震のくり返し間隔を研究する上で重要な課題となっている。