(2)分析結果

分析に供した試料は以下に示す合計102試料である。

表3−5−101

以降に示す@広域テフラとの対比結果、A各ボーリング孔内の火山灰対比結果を、表3−5−1表3−5−2表3−5−3に要約して示す。各孔の全試料分析結果を、巻末にまとめて示す。なお、以下に記す各ボーリング孔の"m"は、いずれも深度を示す。

@広域テフラとの対比

分析した試料の内、広域テフラとして認定された火山灰は下位よりTB−7,TB−8およびATである。

b`−1孔の148.75〜148.77mに、斜方輝石の屈折率が1.703〜1.708、角閃石の屈折率が1.667〜1.673で、TE−5(大磯丘陵に模式地を持つ指標テフラ)に良く似た性質のテフラが認められるが、肉眼観察ではTE−5を含む火山灰層と性状が異なる。

図3−5−1に、指標テフラの分布深度対比図を示す。

<TB−8,7>

TB−8は、1.731前後の高い屈折率を示す斜方輝石(鉄紫蘇輝石)を含むのが特徴であり、大磯丘陵、横浜および房総半島などで広く確認されている示標テフラである。

TB−7は、1.703前後と1.718前後の範囲のバイモーダルな屈折率を示す斜方輝石を含む。層準では、TB−7はTB−8の下位に近接するため、TB−8とセットで確認されることが多い。

以下、各孔毎の結果を示す。

b`−1孔:36.30〜36.33m:TB−8を検出。

     :36.70〜36.77m:TB−7あるいはTB−1の傾向に似た屈折率の斜方輝石を含む火山灰を検出。

b`−2孔:27.75〜27.85m:TB−8由来の鉄紫蘇輝石を検出。

b`−3孔:24.30〜24.40m:屈折率の高い鉄紫蘇輝石を含む火山灰を検出。ただし、屈折率が1.700〜1.713で、TB−7の傾向に近い。

b`−4孔:34.90〜34.95m:TB−7の傾向に似た屈折率の斜方輝石を検出。

ba−1孔:25.10〜25.20m:TB−8を確認。

     :26.80〜26.90m:TB−7を確認。

ba−2孔:23.70〜23.80m:TB−8を確認。

ba−3孔:24.73〜24.80m:TB−7の傾向に似た屈折率の斜方輝石を検出。

ba−4孔:23.95〜24.00m:TB−7を検出。

ba−5孔:24.13〜24.21m:TB−7を検出。

b`−4孔、ba−3孔〜5孔ではTB−8を確認できなかった。

しかし、TB−8を含む岩相が各孔間でよく対比されることや、下位に近接するTB−7が確認されていることから、TB−7の上位の層準にTB−8が存在することが予想される。

<AT>

b`−1孔,b`−2孔およびb`−4孔で、AT由来の火山ガラスが検出された。

b`−1孔では1.49〜2.60mを10cm間隔で分析を行った結果、深度 1.49〜1.59m,1.59〜1.69m,1.69〜1.79m,1.79〜1.83m,1.83〜1.93mおよび2.53〜2.60mから火山ガラスが検出された。

火山ガラスは、特に深度2.53〜2.60mに多く、この層準がAT降下層準に最も近いと考えられる。上位のものはATの二次堆積物と考えられる。

b`−2孔の5.38〜5.48m,b`−4孔の0.55〜0.65mおよび0.85〜0.95mからもAT由来の火山ガラスが検出された。

しかし、b`−2孔のものは含有量が少ないためATの二次堆積物と考えられる。

A各ボーリング孔間の火山灰対比

広域テフラとの対比が不明であるが、各コアで対比できた火山灰を上位より仮に「a−1,a−2,a−3,a−4,a−5」と呼称する(表3−5−2表3−5−3)。

a−5は、高純度なテフラで、斜方輝石の屈折率が1.703〜1.708、角閃石の屈折率が1.669〜1.675である。ba−1孔:87.97〜88.00m、ba−5孔:87.80〜87.83mの2区間に確認された。

a−4は、斜方輝石の屈折率が1.705〜1.716、角閃石の屈折率が1.666〜1.675である。b`−2孔:91.15〜91.25m、ba−5孔:87.35〜87.37mで確認された。

a−3は、斜方輝石の屈折率が1.702〜1.722の範囲にあり、上限側がa−2より高い傾向にある。

a−3は、ba−3孔:58.38〜58.45m、ba−4孔:55.70〜55.80m,56.45〜56.55m、ba−5孔:55.46〜55.48mで確認された。

a−2は、斜方輝石の屈折率が、下限側で1.703〜1.709、上限側で1.712前後である。

a−2は、以下に示す各孔の各区間で確認できた。

b`−1孔:68.75〜68.85m,69.10〜69.20m,

b`−2孔:61.00〜61.05m,

b`−4孔:66.90〜66.95m,

ba−1孔:58.43〜58.50m,

ba−2孔:54.03〜54.35m,

ba−3孔:54.37〜54.45m,54.60〜54.68m,

ba−5孔:54.25〜54.28m

b`−1孔の100.30〜100.35mでは、斜方輝石は検出できなかったものの、わずかに含まれている緑色の角閃石の屈折率が1.670前後を示し、岩相からもb`−2孔の91.15〜91.25mに対比されていることから、a−4と判断した。

ba−1孔の86.95〜87.00mは、屈折率からの対比はつかないが、岩相ではba−5孔の87.35〜87.37mに対比され、また、下位に近接しているa−5がba−1孔とba−5孔の間で対比できることから、この層準をa−4と判断した。

また、b`−3孔では58.27〜58.31mで斜方輝石の屈折率が1.709〜1.720を示し,断定はできないがa−2とa−3が混合しているのではないかと考えられる。