(4)近い将来の断層活動の可能性

<発生する可能性のある地震の規模>

実際の地震と活断層の関係からみると、扇山断層では、トレンチでは、完新世の断層活動の証拠は得られていないが、大分県中部地震の震源に近く、この地震の際に微小な地盤の変位を生じた。したがって、トレンチで明瞭な変位が生じていない場合でも、その断層が大分県中部地震(M6.4)クラスの地震での震源になる可能性は否定できない。逆に、トレンチで明瞭な変位が生じたということは、さらに大きな地震の震源になった履歴を有すると考えるべきであろう。以下で述べる将来予測の対象は、トレンチで確認可能な断層の活動であり、このような断層活動で生じる地震の規模は、少なくとも大分県中部地震(マグニチュード6.4)より大きいと推定される。また、地震のタイプとしては、横ずれ変位を伴う可能性が高いと考えられる。

<崩平山−万年山地溝北縁断層帯>

西部の万年山地域では、活動履歴についての確実なデータが得られていないが、東部の崩平山、野稲岳地域に比べて、完新世になってからの断層活動は活発ではないようである。完新世の断層活動は、東部地域の一部の断層に集中して生じており、大分県中部地震もこの地域で生じている。

このことから、この断層帯での近い将来の断層活動も、現在活動が活発な断層(水分断層、熊の墓断層など)で゙生じる可能性が高いと考えられるが、これらの断層で解明できた最新活動時期からの経過時間と活動間隔の関係からみて、この断層帯で近い将来に断層活動が生じる可能性はあまり高くないと判断される。

<崩平山−万年山地溝南縁断層帯>

西部の万年山地域では、東部の崩平山−千町無田地域に比べて活動履歴についてのデータに乏しいが、得られているデータからみて、東部地域に比べて、完新世になってからの断層活動は、活発ではないと判断される。完新世の断層活動は、東部地域の南縁の断層に集中して生じている。

このことからみて、この断層帯での近い将来の断層活動も、現在活動が活発な断層(須久保撓曲、高柳断層)で゙生じる可能性が高いと考えられるが、これらの断層で解明できた最新活動時期からの経過時間と活動間隔の関係からみて、この断層帯で近い将来に断層活動が生じる可能性はあまり高くないと判断される。

表8−1−2 別府−万年山断層帯西部地域の活動性とその評価 (30万〜80万年前以後の活動の平均)

表8−1−3 別府−万年山断層帯西部地域の活動性とその評価 (5万〜10万年前以後の活動の平均)

表8−1−4 別府−万年山断層帯西部地域の活動性とその評価 (完新世の活動)

表8−1−1 別府−万年山断層帯(西部)の主要断層評価一覧表