(2)音波探査

今回の探査には、磁歪振動式音波探査機(ソノプローブSP−V型)を用い、また探査船として4.4トン(船長10.9m)の旅客船を使用した。艤装は、船のほぼ中央に電波測位機のアンテナを設置し、同じく中央部の右舷側にソノプローブの送波器を、左舷側に受波器を海面下2.0mに固定した。探査船を2〜3ノット程度の航速で進めながら、下方に向けて毎秒3〜6回の音波を発射し、海底面下の地層の境界面(正確にいえば音響インピーダンス境界面)から返ってくる反射音波を受信した(図5−3)。受信された音波は種々の電気回路で処理され、航跡下の連続的な断面として記録紙上に濃淡表示で記載される。また記録紙上には船位測定にあわせて200m間隔のカットラインを入れる。

こうしてデータが得られた後の解析作業については以下のとおりである。濃淡表示の記録は、一見して海底下の地層断面を表示しているようにみえ、相対的な地層構造を直感的に知ることができるが、実際にはこの記録は時間断面である。今回の解析では、地層の伝播速度として海水〜沖積層の一般的な伝播速度である1.5km/secを基準として深度断面に変換した。次に測線毎に船の進行方向によって断面が逆になるため、南からみて同じ向きの断面が並ぶように逆向き断面を反転させた。また記録断面の横スケールは船速に依存するため各断面を同一スケールに調整した。ただし、これらの作業は探査時に得られた記録断面そのものを変えるわけではない。ソノプローブによる断面図はアナログ記録であり、基本的には船上で得られた記録に人為的な操作を加えることはできない。

今回の使用機材を表5−1に示す。