（１）手賀野断層の変位速度
手賀野断層の深沢地点および手賀野地点ではＨ１面，Ｍ１面，Ｍ２面，Ｍ３面の各段丘面に断層変位地形が認められ，各段丘面の累積変位量はそれぞれ２２〜２３ｍ，１１〜１２ｍ，７〜９ｍ，４〜５ｍである。各段丘面の形成年代はＭ３面が約５０ｋａとされる木曽川泥流堆積物（中村ほか：１９９２）に覆われるほかは，段丘面の形成年代を示す資料は得られていない。本報告では各段丘面の中津川からの比高とＭ３面の形成年代（５０ｋａと推定）に基づいて（図３−１−２−５の段丘面の比高対比図参照），Ｍ１面は１００〜１２０ｋａ，Ｍ２面は７０〜９０ｋａと仮定した。Ｈ１面については森山（１９８７）が約３００ｋａと推定していることからやや幅を持たせて２００〜３００ｋａと仮定した。後田地点ではＨ１面に６〜７ｍの変位が認められ，Ｈ１面の形成年代は深沢地点と同様に２００〜３００ｋａと仮定する。上記仮定に基づくと，深沢地点〜手賀野地点での手賀野断層の平均変位速度Ｓは，Ｓ＝０．０７〜０．１２ｍ／千年，後田地点ではＳ＝０．０２〜０．０４ｍ／千年となり，活動度はＢ〜Ｃ級となる。