3−1−3 大川地点調査結果

大川(阿賀川)では、西暦1611年の会津地震(M=6.9)時に一時的に塞き止められて湖が出現したとの記録が残されていることなどから、同地震は会津盆地西縁断層帯の活動によって発生したとされている(図3−10:寒川、1987)。

平成11年度に実施した地表踏査結果によると、下部更新統の七折坂層の急傾斜帯の分布から、断層は大川の出口から約200m上流側の沖積層分布域に推定されたものの、この沖積面上に断層変位を示唆する高度差は認められなかった。

平成12年度調査においては、会津地震と本断層帯との関係を明らかにすることを目的に、大川右岸の沖積面上でボーリング調査を行った(図3−11)。 その結果によると、沖積面下約3m付近に約400y.B.P〜約500y.B.Pの14C年代を示す湖成堆積物が断層を横断して分布しており、少なくとも断層の位置から約350m西方下流側までほぼ水平であることが確認された(図3−12)。 ただし、この堆積物基底面は約300m間でなだらかに東方に低下している。 以上のように、会津地震時においては、塞き止め湖が生じたことを示す堆積物が確認できたが、この堆積物基底面の高度差は、調査した範囲内では小さいものであった。 このことから、地震時には、地表変位がなかったか、あったとしても小さいものであったか、あるいは、さらに広い範囲で変形が生じたことが考えられた。