3−1−2 塔寺地点調査結果

塔寺地点では、最低位の段丘面上にも低崖が明瞭に認められ(図3−5)、地質調査所が1989年にトレンチ調査を実施しており、古いものから、@7000y.B.P、A7000y.B.P以降〜約4300y.B.P以前の2回のイベントを推定している(図3−7:粟田ほか、1993)。

平成12年度の調査では、地質調査所が調査を実施した塔寺トレンチを挟んで、西方隆起側で2箇所、東方低下側で1箇所のピットを掘削して調査を実施した(図3−6)。その結果によると、約7000年前の堆積物(U層:粟田ほか、1993のD、E層)は、撓曲崖の斜面にアバットする形態を示し、アバット部で崖を這い上がるように、下位層及び地形と調和的に撓曲していることから、約7000y.B.P以降の活動は確実と判断された(図3−8)。

約7000y.B.P以前の活動としては、粟田ほか(1993)が指摘しているように、V層は明瞭な撓曲を示し、その上位のU層はV層の撓曲崖にアバットする形態を示すことから、V層堆積以降、U層堆積前の撓曲変形があったことは確実である(図3−8)。この時期は、粟田ほか(1993)により、V層上限の年代が6970y.B.P、U層上限の年代が6950y.B.Pであることから、約7000y.B.Pとされ、本調査でもV層上限の年代は約8800y.B.Pの値が得られた。 また、V層( 約9000y.B.P)の鉛直変位量は、幅約50m間に限れば、約5mであると推定された(図3−8)。

一方、上記ピット調査地点の北側において、粟田ほか(1991)は、河岸段丘群(塔寺T、U、V面)に累積的な変位が認められるとして、塔寺T面形成後の約3400y.B.P 以降、3回の断層活動があったとしている。

平成12年度においては、塔寺T面の年代を確実にすることを目的にボーリング調査を実施した(図3−6)。その結果によると、塔寺T面は約9500y.B.P〜約11000y.B.Pの礫層で構成されていることが明らかとなった(図3−9)。また、この地点では、14C年代が約12000y.B.P以降の堆積物と約14000y.B.P以前の堆積物との間に不整合関係が推定され、約14000y.B.P以降〜約12000y.B.P以前に断層活動が生じた可能性があることが明らかとなった(図3−9)。