5−4−3 トレンチ調査結果

本地点においては,ボーリング調査で確認あるいは推定された断層とそれを覆うM面堆積物との直接の関係を明らかにすることを目的に,トレンチ調査を実施した(図5−21)。トレンチの規模は,長さ約 30m,幅約 14m,深さ約8.5mであり,本トレンチ法面の展開図を図5−22に示す。

トレンチには,基盤として,西側から白亜系花崗岩類の破砕帯,古第三系の石城層及び新第三系鮮新統の富岡層が分布し,これらを覆って,M面堆積物及びその上位にローム層,黒褐色土壌,耕作土が累重している。

面堆積物は,層厚が約5m〜6mで,主に大礫〜中礫の円礫層からなり,花崗岩類の礫の多くはマサ化し,クサリ礫となっている。

ローム層は,層厚が2m程度であり,その下部に砂層及び細礫層を挟在する。ローム層の火山灰分析結果によると,上述のボーリング・コアの火山灰分析結果と同様,の中部から大山倉吉テフラ(約5万年前)及び沼沢・金山テフラ(約5万年前〜約 5.5万年前)が検出され(図5−23−1図5−23−2),大山倉吉テフラ(約5万年前)はスポット状に肉眼で確認される。

また,トレンチの南北両法面の基盤中には,西側から,西上盤側の花崗岩類破砕部と東下盤側の古第三系石城層とを境する断層,古第三系石城層内の断層及び西上盤側の石城層と東下盤側の新第三系鮮新統富岡層とを境する断層の3断層が認められ(図5−24−1図5−24−2図5−24−3図5−25−1図5−25−2図5−25−3),いずれも断層面が西低角度の逆断層である。これらの3断層は,断層面沿いに軟質な粘土を伴うものの,いずれの断層もM面堆積物基底面に変位を与えていないことが確認された(図5−24−1図5−24−2図5−24−3図5−25−1図5−25−2図5−25−3)。

また,本トレンチの東方で実施したYgN−8孔でもM面堆積物の基底面に高度差は認められない(図5−19)。