4−5−8 地震活動の規模

前項までの検討で得られた値を用いて、警固断層系で想定される地震活動の規模を検討する。地震の規模と変位量・断層の長さの各値を関係づけた松田の式B、Cを用いて、断層の延長から1回の地震時の変位量を求めると次のようになる。

logD=0.6M−4.0−−−−−B

logL=0.6M−2.9−−−−−C

D:地震時の変位量(m)

L:地震断層の長さ(m)

M:地震のマグニチュード(q)

ここで、前出の1回の上下方向変位量(D=0.3〜0.4m)と、変位の上下:水平比(≒1:2)から1回の実変位量を求めると、D=0.7〜0.9(m)だから、B式より、

Dから推定される地震の規模:M=6.4〜6.6

また、同様に前出のL=18.5qをC式に代入すると、Lから推定される地震の規模:M=6.9 となる。

すなわち、マグニチュード 6.5クラスの地震が想定されるが、これは日本国内で地表地震断層が確認された事例(マグニチュード6.8以上、多くはマグニチュード7以上)からみるとやや小さい。

ただし、断層の長さLの大きさからみて、マグニチュード 7.5ないしマグニチュード8程度の地震が生じることは考えにくい(図4−5−3参照)。

以上を勘案すると、警固断層系で生じる地震の規模は、マグニチュード7程度とみるのが妥当と思われる。