ｔｉｔｌｅ

４－４－１　既存資料にみられる大森山断層
辻村（１９３２）は，横手盆地の東縁南部には大森山断層崖が存在し，走向は北北西－南南東，長さは２５㎞，崖高は３００～４００ｍ，山麓線は南部において明瞭な直線上を呈し北部では鋸歯状をなすとしている。また，断層は第三紀層山地を切断し，沈降側の盆地床上には孤立する小丘群が分布すると述べている。

臼田他（１９７７）は，「１／５万；横手図幅」には大森山断層に相当する断層を図示していないが，臼田他（１９８１）「１／５万；稲庭図幅」（横手図幅の南側）には，大森山断層の位置に長さ約６㎞の稲庭断層（推定断層）を図示している。

活断層研究会（１９９１）は，大森山断層について，横手市上台の北から横手市街地南部の安田・寺内・増田町真人付近を経て稲川町梺付近に至る断層としている。断層は，山地と丘陵あるいは平野の境界に沿って位置し，延長約２４㎞（横手市街地以南の確実度Ⅱの範囲）・走向は北－南方向・山地高度の不連続から東側隆起で，確実度Ⅱ（横手市街以北はⅢ）の活断層としている。変位基準面の年代・変位量・変位速度・活動度の記述はない。

だだし，「横手盆地南部では古くから断層崖と呼ばれた南北方向の直線的急崖が連なるが，これらに沿って確実な変位地形は認め難い。」と述べている。