(2)蛭藻沼地区のトレンチ調査結果

蛭藻沼地区のトレンチは,T3面上に低崖がみられる箇所で実施しており,これが逆断層が地表に現れたものであるとすれば,断層の上盤側が当時の下盤側表土を覆っている可能性があり,表土の年代を測定することにより活断層の活動履歴が把握できるものと期待して掘削したものである。

トレンチには,現在の表土の下位の厚さ約1mのローム質粘土層が分布し,その下位にはくさり礫混り粘土層が分布している。これら堆積物は,地表面にほぼ平行に撓曲している様子が観察された。

すなわち,ここではT3面の構成層が,断層活動により撓曲変形していることが明らかになったが,断層活動の履歴を把握することはできなかった。T3面の構成層の変位は,東西方向の幅は50m以上と考えられるが,トレンチの範囲内における変位量は約4.8mであるとみられる。

図3−50 蛭藻沼地区トレンチ壁面スケッチ(北・西側法面)

図3−51 蛭藻沼地区トレンチ壁面スケッチ(南・東側法面)