(3)茨嶋地区

茨嶋地区は,新規の扇状地堆積物が広く分布している地区であり,一部に比高約1.5mの低断層崖の可能性のある段差地形が認められる。この新規扇状地においては,比高0.5〜1.5m程度の微高地が分布し,果樹園・宅地等に利用され,低い部分は水田等に利用されている。地形状況及び土地利用から考え,堆積物の性状(透水性や構成物)が異なることが想定され,面区分が異なる可能性が考えられる。

図1−3−3−22 茨嶋地区調査位置図

BBA−1孔は,金沢断層から西側へ約100m地点の下盤で実施し,調査結果を,ボーリング柱状図(1/100)及びコア写真に示した。

また,地形地質調査結果を合わせて,図1−3−3−25図1−3−3−26に地質断面図を示した。

図1−3−3−23図1−3−3−24 ボ−リングコア写真・柱状図

図1−3−3−25 茨嶋地区地質断面図

これらによると,BBA−1孔は,深度10.0mまでは新規扇状地堆積物,深度10.0m以深で低位段丘堆積物4(T4)が分布する。

なお,BBA−1孔における年代測定は3深度(箇所)で実施しており,そのうちの2試料は,扇状地堆積物中の粘土分に富む箇所で実施した。

この結果,深度2.33〜2.43mは30,690±230y.B.Pであったが,深度4.65〜4.75mが11,420±60y.B.Pであることから,この扇状地堆積物の年代は約 11,000年前と考えられえる。しかし,採取箇所の性状及び堆積状況を考えると,この年代測定値は,古い堆積物を混入した結果の値である可能性がある。

次に,深度10.20〜10.30mの年代は,31,480±370y.B.Pを示しているため,金沢本町で認められる低位段丘4(T4)に相当すると考えられる。ただし,深度10.0m以深の堆積物は,主に暗茶褐ないし黄茶褐色を呈する礫混りシルト・粘土であり,全体に風化作用による酸化を受けており,他地域で実施したボーリング結果と明らかに層相が異なっている。このため,地下水等の影響を受けて低位段丘3(T3)の年代が若返った可能性もある。

杉沢地区の調査位置図並びに三貫堰地区・蛭藻沼地区における地質断面図を以下の図に示す。

図1−3−3−27 杉沢川地区調査位置図

図1−3−3−28 杉沢川地区地質断面図

図1−3−3−29 三貫堰地区〜蛭藻沼地区(東)南北断面 断面位置図

図1−3−3−30 三貫堰地区〜蛭藻沼地区(東)南北断面 地質断面図

図1−3−3−31 蛭藻沼地区(南)東西断面 地質断面図      

図1−3−3−32 蛭藻沼地区(西)南北断面 地質断面図      

図1−3−3−33 蛭藻沼地区(東)南北断面 地質断面図